極甘CEOと交際0日の仮初結婚 ~一途な彼の、初恋妻になりました~
ガチャン、と無慈悲にドアが閉まる音。
私を捨てた男が選んだのは、若くして起業した女性社長。
――自立してない女に寄りかかられるのは、疲れたんだよ。
何も持たない私にそう言い放って、彼は私たちの愛を終わりにした。
あの日の夕飯は、ミモザサラダとビーフシチュー。シリコンのお玉を取り落として、私は彼に追い縋った。
だって、彼女に家で待っていて欲しいって隼人が言ったんじゃない。
だから私は、仕事を辞めたのに。
ぐちゃぐちゃに泣いて縋っても、彼は戻って来なかった。
彼は、面倒そうに言い捨てた。
――おまえが勝手に仕事を辞めたんだろ。
ガチャンと響いた冷たい音の、耳鳴りみたいな残余のさなかで思い知った。
私が勝手に、愛に全てを捧げてしまった。
私を、何も持たない私にしたのは、他でもない私だった。