ながされて、絆されて、ふりむいて
──"仕事でもあんな近くにいられて"
その言葉にちくりと胸が痛んでしまうのは、勝手だろうか。
この女子生徒たちが悪意を持っているわけでもなくて、わたしたちの関係を知っているわけでもないから、第三者から見たら至極当然の"事実"なんだ。
「ね、児玉といえばさ、去年落とした児玉教授の必修の概論、取れてた?」
「あーー、まじギリ取れた。しっかり15回出席して、過去問も集めまくってそれなりに対策したけどテスト62点で首の皮一枚だった」
「マジ鬼だね。あの鬼単が必修じゃないというだけで私はこのコース選択に自信を持てる」
「改めて、茅野さん児玉教授のゼミで首席って異次元」
耳を澄ませた先の会話はわたしのお父さんと凪が主役を奪い合っていた。
説明会中にしていた凪の自己紹介、OBであること、児玉教授のゼミで一応首席でした、というインパクトは相当強いらしかった。一瞬、あの講義室にざわめきをもたらした。