ながされて、絆されて、ふりむいて



無事に返却と挨拶を済ませて大きな門を潜り抜ければ今日の業務は終了だ。


16時30分、ここからちょうど30分ほどで帰ることができるから、いつもよりちょっと早めの帰宅になる。たまにはあってもいい、時間に余裕を持たせた直帰デー、ときめく。


同じ最寄駅であるわたしと凪はもちろん向かう場所も同じ。



「花鈴、今日うち来る?」


「行ってもいいなら、行こうかな」


「俺が花鈴を拒否したことなんてないんだけど」


「それはそうだったね」



いつも通りのお誘いに、いつも通り乗る。最近は毎日わたしの家に来ていたから、凪のところへ行くのは久々かも。グレージュのお気に入りスーツは一旦回収しちゃおっと。


なんて、凪の部屋のかりんスペースに思い浮かべていれば、ふいに絡まった、右手。



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