ながされて、絆されて、ふりむいて



「……おはようございます、名波さん」



彼のアイデンティティでもあるような、あまい香りが鼻腔をくすぐる。


朝のトップノートはいつもよりすこし軽やかな気がする。爽やかな一日のはじまりにぴったりだ。



「児玉さんって毎朝カフェオレ?」


「はい、テンション上がるので。あの、名波さん、お金、」


「あー、それは全然大丈夫。勝手に俺のスマホがセルフレジに吸い込まれちゃったからさ?」



……なんだかよくわからないけれど、向けられた笑みにはいつも通りの柔らかさと、かんたんに相手を溶かすやさしさが含まれていた。


朝のカフェオレ220円を奢ってもらったことは事実なので「ありがとうございます」と感謝をお伝えした。コンビニを出て、自然と並んで歩く形になる。全然慣れない高い目線。



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