野いちご源氏物語 四八 早蕨(さわらび)
夕霧大臣様も、姫君と匂宮様を今月ご結婚させるおつもりだった。
この姫君は大臣様の六番目の姫君だから、六の君とお呼びいたしましょう。
大臣様は、宮様が六の君とのご結婚の前に、いそいで他の女君を二条の院へお迎えになったことをご不快に思われている。
気の毒なことをしたと宮様は同情なさって、六の君へお手紙だけはときどきおあげになる。
六の君の裳着の儀式はすでに大がかりな準備が進められている。
宮様が他の女君とご結婚されていたことが分かったからといって、今さら延期なんてできない。
そんなことをすれば世間に笑われてしまうから、予定どおりに行われた。
大臣様もお悩みになったのよ。
<匂宮様は六の君との結婚をぐずぐずと拒みつづけていらっしゃる。いっそのこと薫の君に差し上げようか。親戚同士の結婚はぱっとしないが、薫の君が他の家の婿になるのは悔しい。長年宇治の大君に恋をしていらっしゃったようだが、その人が亡くなって、心細そうに物思いなさっているとか。ちょうどよいではないか>
しかるべき仲介役を立てて薫の君にお伺いなさったけれど、薫の君はあっさりとお断りになった。
「命の儚さを目の当たりにしてまだ気分がふさいでおりますし、恋人を早死にさせた私は、結婚には向かない不吉な人間のような気がするのです。とても結婚しようとは思えません」
もう全然脈がないから、大臣様はお恨みになる。
<宮様だけでなく薫の君まで何なのだ。こちらが丁重にご提案したことを、いかにも嫌そうにお断りになるなんて>
大臣様にとって薫の君はお年の離れた弟でいらっしゃるけれど、お人柄の立派な方なので、無理やり六の君を押しつけることはおできにならない。
この姫君は大臣様の六番目の姫君だから、六の君とお呼びいたしましょう。
大臣様は、宮様が六の君とのご結婚の前に、いそいで他の女君を二条の院へお迎えになったことをご不快に思われている。
気の毒なことをしたと宮様は同情なさって、六の君へお手紙だけはときどきおあげになる。
六の君の裳着の儀式はすでに大がかりな準備が進められている。
宮様が他の女君とご結婚されていたことが分かったからといって、今さら延期なんてできない。
そんなことをすれば世間に笑われてしまうから、予定どおりに行われた。
大臣様もお悩みになったのよ。
<匂宮様は六の君との結婚をぐずぐずと拒みつづけていらっしゃる。いっそのこと薫の君に差し上げようか。親戚同士の結婚はぱっとしないが、薫の君が他の家の婿になるのは悔しい。長年宇治の大君に恋をしていらっしゃったようだが、その人が亡くなって、心細そうに物思いなさっているとか。ちょうどよいではないか>
しかるべき仲介役を立てて薫の君にお伺いなさったけれど、薫の君はあっさりとお断りになった。
「命の儚さを目の当たりにしてまだ気分がふさいでおりますし、恋人を早死にさせた私は、結婚には向かない不吉な人間のような気がするのです。とても結婚しようとは思えません」
もう全然脈がないから、大臣様はお恨みになる。
<宮様だけでなく薫の君まで何なのだ。こちらが丁重にご提案したことを、いかにも嫌そうにお断りになるなんて>
大臣様にとって薫の君はお年の離れた弟でいらっしゃるけれど、お人柄の立派な方なので、無理やり六の君を押しつけることはおできにならない。