月のうさぎと地上の雨男
 ある晩、本家の帰りに渡は車から空を見上げた。

 渡が凪と最後に会ってから、およそ一か月が経っていた。

 彼女に会いたくてたまらなかった。たまにかかってくる電話に、何度「会いたい」「早く帰ってきてくれ」「寂しい」と言いたかっただろう。

 透が園佳と睦まじく過ごすのを見る度に、羨ましくて仕方なかった。

 それでも。

 渡は夜空で輝く月をじっと見つめた。

 凪も、月で頑張っている。

 自分ばかりが大変なわけでも、辛いわけでもない。だから、頑張れる。

 渡が凪に会えるまで、あと一週間。


 月は渡の後を、ちゃんとついてきていた。
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