月のうさぎと地上の雨男

09.ほしいと思ったら、際限がなくて

 (わたる)が両親に「凪と正式に付き合うことにした」と伝えると、すんなり受け入れられた。


「付き合ってなかったの?」

「うん」

「何で?」

「何でだろう……」


 母の歌帆(かほ)に詰められてタジタジしたものの、(ゆずる)も歌帆も反対はしなかった。


「頭領に報告するが、構わないな?」

「うん、凪もお母さんに伝えて、必要そうならお父さんにもって言ってたから、美佳(みか)伯母さんにも伝えておいてほしい」

「……そうか。わかった」


 譲がわずかに顔を曇らせ、頷いた。


「どうしたのさ」

「月の大使と挨拶するのが今から気が重いな……。娘を溺愛してることで有名なんだよ」

「……そうなんだ」

「骨は拾ってやるよ」

「秒で見捨てるじゃん……」

「本当に見捨てているなら姉貴に報告なんぞ行かん!」

「すみません、お手数おかけします……」

「わかればよろしい」


 その後、頭領からは『了解した』とだけ返事があり、少なくとも反対はされてはいないようだった。


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