空蝉の絶唱
神社からコンビニまでは、大体徒歩10分。
木陰もない、アスファルトで覆われた道を歩くのはあまりに暑く、神社の涼しさがよくわかる。

1人だと微妙に長い道のりだけど、2人で話していればあっという間だ、

入り口の自動ドアを通過すれば、冷たい空気に包まれる。汗が一気に冷えたせいで、むしろ寒いくらいだった。

「ほら、好きなの選んで」

アイス売り場を見ると、沢山の種類のアイスがぎっしり詰められている。どれも美味しそうだけど、見る前から選ぶアイスは決めていた。

「じゃあ、この大福のアイスにする!期間限定の塩キャラメル味、食べてみたかったんだ〜」

私はこのタイプのアイスが1番好き。
そのまま食べても美味しいし、少し溶かして食べるのも良い。なんなら、あったかいココアに浮かべてみても美味しい。
どう食べても美味しい、最強のアイスだと思っている。

「了解。俺はチアパックのアイスにしようかな」
「いいねぇ。それ好きなの?」
「まぁね。特にこの時期は手も冷やせて良い」
「あー分かる。途中で蓋閉められるの便利で良いよね」
「だろ?ーーじゃあ、レジ行ってくるからそれ貸して」
「うん。ありがとう」

帰り道、アイスを食べながらのんびり歩く。気づけば日も高く昇っていて、日陰はほとんど無くなっていた。
これじゃあ急いで食べないと、アイスがすぐに溶けてしまう。

「やっぱり美味しい!甘じょっぱいって最高かも」
「…へぇー」

そっけない返事だけど、湊の視線は私のアイスに釘付けだ。

「ねぇ湊」
「ん?」
「これ、食べたいんでしょ?…1個あげる」
「お、いいの?」
「いいよいいよ。買ってくれたの湊だし」
「そういうことなら貰っとく」
「ん。どーぞ」

付属のフォークで残りの一つをとって差し出すと、あっという間に湊の口の中に消えていった。

「本当だ。これ結構いけるな」
「……」

そういえば、さらっと流れていったけど、これーー間接キスって言うんだっけ。
あの湊と、間接キス…。
もしかすると私、とんでもないことをしでかしてしまったのかもしれない。

「…雪菜?どうかした?」
「え?いや間せ…一口でいけるんだなぁって」
「…あぁ、このサイズならその方が良くない?暑いから溶けて零れると面倒だし」
「それは言えてる」
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