総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ
「……もう…起きてたなら、起こしてよ…」
照れ隠しみたいに言うと、すぐに返事が返ってくる。
「可愛い胡桃が見れるのに、起こすなんて勿体無いことするわけないでしょ」
な、なにそれ……!!
恥ずかしさと嬉しさが同時に押し寄せて、どうしていいか分からない。
私がひとりで自爆していると、少し間を置いてから叶兎くんがぽつりと言った。
「胡桃、今日はデートしたいんだけど」
「デート…?」
顔を上げると、叶兎くんは穏やかな目をしていた。
「吸血鬼の街……俺の故郷。胡桃に見せたいから」
私の知らない、叶兎くんの居場所。
叶兎くんが生きてきた場所。
そこに、自分を連れていきたいって思ってくれることが、何より嬉しくて。
「行きたいっ!」
叶兎くんのこと、もっと知りたい。
私が即答すれば、叶兎くんは少しだけ目を細めて笑った。
そしてもう一度、抱き寄せられる。
「でも、もうちょっとこうしてたい」
胸に顔を押し付けられて、また彼の心音を聞く。
……だめだ。
今、幸せすぎて、どうにかなりそう。
私は小さく頷いて、そっと目を閉じた。
この時間が少しでも長く続きますように、って願いながら。