総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ




叶兎くんの背中が見えなくなって、私はひとりでカップを持ち直す。


周りの景色を眺めてみるけどまだ朝早いからか、テラス席は私たち以外には誰もいない。


通りのざわめきが、少し遠くに聞こえるだけ。

と思っていたら。



「一人?」



急に、人の声がしてびくっとして顔を上げる。

知らない男の人が、通りの道からこちらへやってきた。


…え、なに…

ナンパ…?


嫌な予感がして、体がこわばる。



「君、可愛いなって思って」

「私、連れがいるので。というか、叶──」

「すぐ戻るってやつ?」



叶兎くんの名前を出せば引いてくれるかと思ったけど、遮るように言われて、言葉が詰まる。



「別にちょっと話すくらいいいじゃん」



ええ……全然良くない。


そしてその男がさっきまで叶兎くんが座っていた正面の席に座ろうとして──



「なにしてんの」



また別の男の人…でも聞き慣れた声が割り込んだ。




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