総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ
「大丈夫?」
「…ありがとう、朔」
本部で時々見かけることはあったけど、こうしてちゃんと話すのは式典のあの日以来だ。
無意識に、少し緊張する。
「でも、どうしてここに?」
「見回り中。たまたま通りかかったらくーちゃんが怪しい男に絡まれてたから…」
あの日以来、朔は私の父親──麗音のもとで、本部の仕事をしている。
最初は監視付きだったけど、半年経った今はそれも外れた。
朔の能力はやっぱり重宝されていて、現場に呼ばれることも多いらしい。
今は、その日課のパトロール中だとか。
「くーちゃんこそ、なんでひとりでここにいたの?」
「えっと、1人ってわけじゃなくて──」
そう言いかけて、
「胡桃?」
名前を呼ばれて、振り返る。
テラス席の入口に、叶兎くんが立っていた。
その二人を同時に視界に入れた瞬間、空気がぴんと張りつめたのが、はっきり分かる。
さっきまでの、柔らかい空気が嘘みたいに遠ざかった。
叶兎くんの視線はまっすぐこちらを見ている——正確には、私のすぐ横にいる朔を。
怒っている、というよりも。
……警戒している。