総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ
並ぶ家々の中で、叶兎くんが足を止めた。
──赤羽家の表札。
丁寧に手入れされた庭と、窓から漏れるあたたかい灯り。
え、なんか急に緊張してきた。
別に初めて会うわけでもないのに。
それなのに、胸の奥がそわそわして落ち着かない。
玄関の前で一度、深呼吸。
叶兎くんがインターホンを押すと、数秒後。
「はーい」
聞こえてきた声は、柔らかくて優しい声だった。
扉が開いて。
「……あら?」
華恋さんは一瞬、驚いたように目を瞬かせてから。
その視線が私に向いてすぐに表情が変わる。
にこっと、すごく優しい笑顔。
「胡桃ちゃんじゃない〜!久しぶりね!」
「お、お久しぶりです……!」
反射的に頭を下げると、すぐに両手を取られた。
「もう、そんなにかしこまらなくていいのに。元気にしてた?」
「はい、おかげさまで……」
にこにこしながら、私と叶兎くんを交互に見る。
「叶兎〜」
「……なに」
「やっと連れてきたのね?さ、立ち話もなんだし。上がって上がって」
満足そうな華恋さんに背中を押されるようにして、家の中へ足を踏み入れる。