箱入り令嬢ですが恋がしたいのです〜選ばれなかった御曹司に溺愛されて結婚します〜
 一緒に暮らして結婚式の準備に勤しんでいた。

 絶対に花嫁姿が見たいという両親の希望もあり結婚式の準備は着々と進められていく。

「佳乃のドレスは決まった?」

「ううん、まだ……迷ってる」

 とにかく張り切ったママが片っ端からドレスを用意させて選ぶのも一苦労だ。

「お色直しも2回したらいいって……」

「……嫌なの?」

「そんなにしなくてよくない?」

 真面目に言ったら柊也さんに噴き出される。

「お義父さんとお義母さんが見たいって言ってるんだろ? 可愛い一人娘の晴れ舞台なんか一生に一度だもんな。許される環境にいるならしたらいいのに」

「んん……」

「したくない理由でもあるの?」

「ママがドレスをっていうんだけど……カラードレスはそんなに興味がなくって」

 できるなら……。

「柊也さんの和装が見たい」

「俺?」

 急に名前を出されて驚く柊也さんがいる。

「和装……着たい、かなって」

 白無垢は憧れでもある。でもママは私にウェディングドレスを着せたくてたまらない。それにもちろん反対などできるわけもなく。

「私もウェディングドレスは憧れもあるけど……」

 モゴモゴ言い訳みたいに言葉を濁すと柊也さんがプッと噴き出して言うのだ。

「案外こぼせばスルッと叶うぞ?」

「え?」

「親に言えなくても俺には言えるだろ?」

「……」

「洋装も和装もきっとどっちも可愛いだろうな」

「……柊也さんも、着物着てくれる? すごく似合うと思う」

 そう尋ねたらくすぐったそうに笑われて……頷いてくれる。

「佳乃が望むなら喜んで」

「……いいの?」

「……いいよ? なんでもこぼして?」

 自分の思いをうまく言葉にできない私に柊也さんは言ってくれるのだ。

「俺はさ、佳乃の心の声をこぼせる存在になりたいからさ」

 そんな優しい言葉をくれて、微笑まれたら胸がいっぱいになった。その夜ポツポツ思いをこぼす私に静かに聞いてくれる柊也さん。胸の中で思う気持ち、憧れていたこと、少しずつ話せば何かに解放されるように。今まで誰にも言えずにいた思いをこぼせる幸せに浸り長い夜を過ごした。
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