Bella Notte
 あれなんてガセもいい所で、あの場所には関係者も沢山いたのに、いい具合に写真を切り取って加工された。

 エンタメと割り切って対応していたのに、あの女優は、ガセネタを本物にしようと連絡してくるし。
 もちろんもう、仕事で関わる事もないので秒で連絡先をブロックした。

 現在は、モデルとしてWEB雑誌や、有名サイトのトップ画面のイメージフォト、CM、MVやショートムービ出演とありがたいことにその活躍場所は増えてきている。

 契約数が増えれば、それだけ事務所も慎重になる事は分かっているけど。

 ……けれど、それをすべて捨てることになったとしても、楓が欲しい。

 支えてくれている人には本当に悪いと思うけど、これだけは譲れない。

 ゆっくりとした足取りでルーフバルコニーへ出た。

 幸いなことに誰一人として追いかけては来なかった。
 去り際に、『ごめんさなさい、うるさくして』とか『お仕事、頑張ってください』とか聞こえて来たかのでもう大丈夫だと信じて。

 バルコニーには待ってるはずの楓の姿どころか、人は1人もいない。

 室内からはひときわ大きな歓声が上がって、振り向くと新郎新婦が会場へ到着したようで、皆がそちらへ注目しているようだった。

 ほっとして前へ向きなおすと、目の前に広がる海。
 今夜は満月だから、優しい光に溢れていて海面が美しい光を纏っている。

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