Bella Notte

「飲みすぎたようで、これで失礼します。あ、先ほどは楓をフォローしていただいたようで、ありがとうございます」
 取り繕うように、営業用の笑顔を張り付けてそう言った。

「いえいえ、そうなんですねお大事に。お邪魔したようですみません」
 そう言って少し残念そうな表情で会釈をして去っていく男の後ろ姿を睨みながら。

「もう2度と楓に近づくな」
 呟いてみると、背後から。

「桜井くーん」

 背筋に悪寒が走るような猫なで声に呼び止められる。
 思わず反射的に振り返ると、長谷川が満面の笑顔で頷いていて。

「……よかったね、」
 感無量の面持ちになり、拗らせたあんたも中々面白かったけれど、と中々辛辣な言葉を頂き。

「2人で幸せになってね」
 背中を軽く2度叩かれて。

「……あぁ」
 それには、腕の中の眠り姫からまず返事を貰わなくては、と。

「長谷川、送っていくよ」
 と言えば、呆れたような表情。

「いやいや、もう迎えが来る頃だから、早く連れ去ってしまいなよ」

 返事の代わりに、頷いて、車の元へと急ぐ。



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