傷だらけのシンデレラ 〜再会した元恋人は溢れる愛を押さえきれない〜
「お前たちも結弦くんに頭を下げるんだっ…!早く!」

「ど、どうして私たちまで…!」

「…そんなこと言ってる場合か!ナトリホールディングスに切られたら、うちはおしまいなんだぞ!!」


お父さんは由美さんと愛理さんの腕を引っ張ると、頭を押さえつけて無理やり土下座させる。


「どうかっ…お願いします!!取引だけはっ…!でなければ、何百…何千という従業員たちを路頭に迷わせてしまうことになります…!」


…驚いた。

これまで人を見下してきた人たちが、額が床につくくらいにまで頭を下げている。


でもたしかに、ナトリホールディングスに切られれば、富士川電機で働くなんの罪もない人たちの生活が危ぶまれる。

こんなわたし個人の問題で、そんなことにまで発展してほしくない。


「名取くん…」


わたしは、隣に座る名取くんを見つめる。

すると、不安そうなわたしの表情から名取くんはすべてを読み取ってくれたのか、フッと笑ってみせる。


「…わかりました。取引を切るというお話はなかったことにしましょう」

「本当ですか…!?」


さっきまで今にも死にそうなやつれた顔をしていたお父さんの表情がパッと明るくなる。
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