傷だらけのシンデレラ 〜再会した元恋人は溢れる愛を押さえきれない〜
…そっか、もうそんな時間。


「だから、こうして帰ってきました」

「“帰ってきた”…?」


その言葉が妙に引っかかる。


てっきり、招待客の休憩のために設けられた部屋だと思っていたけれど――。

実は、名取くんが宿泊のために取っていた部屋だった。


それを聞いて、慌てて帰り支度をする。


「わ、わたしはこれで失礼させていただきます…!」


パーティーも終わったのであれば、これ以上ここに留まる理由がない。


「ワンピース、お貸しいただき助かりました。これでうちにも帰れます」

「そんなに急がれなくても。雨も降ってきましたし、もうしばらくゆっくりされては――」

「大丈夫です。お気遣いありがとうございます」


早くここから逃げなくちゃ。

名取くんがわたしに気づく前に。


「今日は本当にありがとうございました。それでは、わたしはこれで――」


深くお辞儀をして、部屋から出ていこうとしたそのときだった。


「待てよ、澪」


そんな声とともに、わたしの体が後ろから抱きしめられる。

驚いて顔を向けると、すぐそばにはわたしを見つめる名取くんの顔があった。


「なんで、そんなによそよそしいんだよ。…俺のこと、忘れちゃった?」
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