傷だらけのシンデレラ 〜再会した元恋人は溢れる愛を押さえきれない〜
名取くんは、わたしの背中にぽつりと言葉を漏らす。


「あの夜から、何度もあそこで澪を探したんだ。同じ時間にいたら、また会えるんじゃないかって」


あの日が最後の出勤日だったから、あれ以来わたしらあの場に行っていない。

それなのに、名取くんはわたしを探して何度も――。


でも、どうして…?


「澪。せっかく会ったんだから、ちょっと話さない?」

「え…、でもっ……」

「帰りはうちの運転手に送らせるから。な?」


名取くんがそう言ってくれるから、お言葉に甘えてお邪魔させてもらうことにした。

本音としては、わたしももう少し話してみたいと思ってしまっていたから。


名取くんがルームサービスで注文したシャンパンをそれぞれのグラスに注ぐ。


「それじゃあ、乾杯」

「乾杯…」


ぎこちなく、わたしは名取くんとカチンとグラスを交わす。


シャンパンをひと口。

おいしい…はずなのだろうけど、緊張していたわたしは味がほとんどわからなかった。


「…えっと。さっきは思わず抱きしめちゃったけど、もしかして…澪って結婚してたりする?」

「し…、してないよ!」

「よかった。あ、でも…さすがに彼氏はいるよな。さすがに知られたら怒られるよな」
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