傷だらけのシンデレラ 〜再会した元恋人は溢れる愛を押さえきれない〜
「ご心配なく。彼氏だっていないよ」


わたしは乾いた笑みを見せる。


「そうなの?8年たってさらにきれいになってるっていうのに、男が放っておかないだろ」

「…そんなことないよ。だって、名取くんと違ってわたしはなにひとつ変わってないんだから…」


…本当は、ここで名取くんの隣にいるだけで恥ずかしいのに。

今だって、名取くんはわたしには眩しすぎるくらい。


「そういえば、澪って今なにしてるの?富士川電機の社長のご家族といっしょだったよな?」

「…う、うん。あれは――」


こんな複雑な家族事情は話してもきっとおもしろくはないはず。

しかし、名取くんが静かに聞いてくれているだけで、どこか話しやすかった。


それに、高校時代のわたしのすべてを知っている名取くんには、それほど複雑な説明は必要なかった。


「そっか。富士川電機の社長が、澪のお父さんだったんだ。でも住み込み家政婦とはいえ、…複雑じゃないか?」

「複雑ではあるけど、ちゃんと家族として迎え入れてもらったよ。だから、今日だってこうして連れてきてもらえたわけだから」


わたしは微笑んでみせた。

名取くんには説明はしてみたけど、すべてを打ち明けたわけじゃない。
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