傷だらけのシンデレラ 〜再会した元恋人は溢れる愛を押さえきれない〜
不思議に思って顔を覗き込むと、名取くんの瞳がわたしを捉えた。


「やっぱり…、帰したくなくなった」


その言葉とともに、わたしは名取くんに引き寄せられ――。

それはあっという間の出来事で。


気づいたら、名取くんにキスされていた。

わたしは驚いて目を丸くする。


「…なっ、名取くん…!なにするのっ…」


慌てて名取くんの胸板に手をついて押しのけた。

しかし、わたしを見つめる名取くんの瞳はどこか儚げに感じた。


「ごめん、驚かせて。でも、…気持ちが押さえられなかった」


“気持ち”って――。

なにかの冗談…?


だけど、わたしも名取くんも酔っ払うほどは飲んでいないはず。


「俺、澪のことが…ずっと忘れられなかった。…8年前のあの日から、ずっと」


名取くんがわたしを抱きしめる。

強く強く、でもやさしく。


名取くんの変わらない匂い。

心地よい体温。


懐かしくて、思わず甘えてしまいそうになる。
< 35 / 104 >

この作品をシェア

pagetop