傷だらけのシンデレラ 〜再会した元恋人は溢れる愛を押さえきれない〜
でも…、ケーキ屋さんは目と鼻の先にある。

約束を破ることにはなってしまうせど、すぐそこだから、名取くんちょっとだけ外出するね。


わたしは財布を持つと、急いで家を出た。


大通りの交差点を渡り、ケーキ屋さんへと駆けていく。


「いらっしゃいませ」


にこやかな店員さんに出迎えられ、わたしは会釈をしてショーケースを覗き込んだ。

ちょうど、ひとり分用のいちごのホールケーキがあって、すぐにそれに決めた。


作りはショートケーキと同じだから、きっと名取くんも喜んでくれるはずだ。


店員さんからケーキの入った箱を受け取り、わたしは頬を緩ませながら店を出た。


するとそのとき、開いた自動ドアの先に二人組がいて、片方の人と肩と肩がぶつかってしまった。


「いった〜い。どこ見て歩いてるのよ」

「す、すみません」


頭を下げて謝罪し、ケーキが無事なことを確認して家に戻ろうしたとき――。


「もしかして、澪さん…?」


名前を呼ばれたとたん、嫌な予感がして目を見開いた。

その瞬間、わたしは思わずケーキの箱を地面に落としてしまった。


「やっぱり澪さんじゃない!」

「え、ほんとだ。なんでこんなところにいるの?」
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