傷だらけのシンデレラ 〜再会した元恋人は溢れる愛を押さえきれない〜
「それでは、こちらはありがたく頂戴します」

「よかった。受け取っていただけなかったらどうしようかと思いました」


名取くんは、安堵したように表情をゆるませる。


これで、公私ともに名取グループと関係を持つことができた富士川家。


さらに、名取くんからは多額の結納金。

きっとこの結納金も、自分たちの私腹を肥やすためだけに使われるのだろう。


こんな、お父さんたちにとって至れり尽くせりの状況があるだろうか。


なにも名取くんも、そこまでしなくたっていいのに…。


わたしはうつむきながら、きゅっと唇を噛んだ。

――そのとき。


「ちなみに、受け取っていただいたそれは結納金ではありますが、同時に手切れ金でもあります」

「そうですか、手切れき――…手切れ金!?」


お父さんは目をぎょっと見開けて名取くんを二度見する。


「ゆ…結弦くん。手切れ金というのは…」

「そのままの意味です。そして、こちらも持ってまいりました」


そう言って名取くんが差し出したもうひとつの箱の中には、総額1千万円にも及ぶ札束が入っていた。


「結納金とはまた別で、これは富士川社長が肩代わりしているという澪の借金分です。澪の代わりに、僕が全額返済します」
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