時を縫う英雄譚
 放課後。
 芽吹は教室で、透の机にもたれかかっていた。


「……ちゃんと寝てる?」

「まあ、一応。四時間は寝てる」

「四時間!?少なくない!?」


 そうか?と言いながら透は窓の外を見る。
 夕焼けに沈む街。その輪郭が、どこか歪んで見えた。


「灯ちゃんのこと……」

「考えない日はない」


 芽吹は一瞬、言葉に詰まる。
 それから、そっと透の手に自分の手を重ねた。


「後悔してる?」

「……してないって言ったら、嘘になる」


 透は拳を握る。


「でも、止まれない。
 あそこで止まってたら、兄として終わりだから」


 芽吹は何も言わず、ただうなずいた。
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