色褪せて、着色して。Ⅵ~黒薔薇編~
 催涙弾を部屋に投げ込まれ。
 大きく咳き込んで倒れたのは、私とトムじい2人だけ。
 ハガネは普段から訓練しているらしく、平然と立っていて。
 バニラは咳き込んだけど、妖精だからと言って無傷なわけで。

 トムじいは、催涙弾を投げ込まれたタイミングで。
 私を護衛してくれている例の国家騎士に捕らえられ。
 視界が和らいだところで、姿を消していた。
 気づけば、遠くから車の音がして。
 終わったのか…という安堵で暫く起き上がれなかった。
「おい、あるじ。医者か? どうすればいいんだ」
 というハガネの声が聞こえたかと思うと。
 ふわりと身体が宙に浮いたかと思った。
 美形の男がお姫様抱っこしてくれている…。
 でも、ソファーに落下するという最悪の形で運ばれた。

「せめて、ゆっくり置いてよー」
 運んでくれたナオミに文句が出てしまう。

 上半身を起こすと。
 綺麗な顔をしているのに。
 もんのすごく怖い顔でナオミが睨んでくる。
「はじめっからわかっていたのか?」
「なんの話だ、ナオミ! 病人の前で大きい声を出すな!」
 ハガネのほうが声でかいし。
 私、病人じゃないんですけど…

「ナオミ様。エアー様を責めないでくださいませ」
「なんで、利用されるとわかっていて此処に来た? 弱みでも握られているのか?」
「おいおいおい! ナオミ。何を意味わかんねー話してんだ」
 一人だけハガネは話についていけていないのか。
 大声を出して、喚き散らかす。

「ただいま、戻りました~」

 どういうタイミングだというのか。
 お気楽な声で帰って来たのは、トペニとスズメだ。
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