丘の上の小さな 美容室

疑念と困惑


 その日あたしは薄っすらと雪が積もる地面にブーツの足跡をつけて、ウィンドウショッピングを楽しんでいた。
 本当は美織と映画でも、と休日が重なったので誘ったのだが、あいにく予定があるとのこと。家にいてもすることもないしと気分転換に街に来たのが良くなかった。
 千紗からメッセージが届いたので立ち止まり、建物の端に寄りスマホを見ていた。返信をしようと指を動かしたその時、クラクションが鳴りはっとスマホから顔を上げた。車が行き交う交差点。複雑に道路に引かれた横断歩道。赤信号と、青信号が交互に光るその中で。
 視界に愛しい人が映り込み、あたしは自然と顔を綻ばせた。けれど、その顔は一瞬で凍る。
 愛しい人はあたしには気づかない。赤信号と青信号が入れ替わり、美織は歩き出す。
 
 隣に知らない女を連れて。
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