冷徹CEOと、一夜から始まる溺愛契約
レストランを出て、私はふらふらと街を歩いた。
華恋さんの言葉が、頭から離れない。
『取引なら、契約期間が終われば終了』
『何もおっしゃってない、それが答えよ』
違う。湊は、そんな人じゃない。
だけど――確かに、契約の話は一度も出ていない。
もし彼が本当に私とずっと一緒にいたいなら、契約を白紙に戻す話が出るはずじゃないの?
その考えが、小さな棘となって心に引っかかる。
気づけば私は、会社の前に来ていた。
最上階の社長室に、明かりが灯っている。
あそこに湊がいる。
だけど――行ったところで、何を聞けばいい?
勇気を出して彼に尋ねたとしても、もし答えが聞きたくないものだったら……。聞くのが怖い。
私は、その場に立ち尽くす。
冷たい風が、頬を撫でていった。