冷徹CEOと、一夜から始まる溺愛契約
聞きたいのに、聞けない。臆病な私。
「あの……私も」
私は、キッチンからラッピングした箱を持ってくる。
「これ、手作りなんです」
「手作り? 紗良の?」
湊の表情が子供のように輝いた。
箱を開けると、ハート型のガトーショコラが並んでいる。
「可愛いな。いただきます」
湊が、一つ手に取る。
「美味い。紗良の愛情が、詰まってる」
その言葉に、頬がゆるむ。
本当に、彼への気持ちを込めて作ったから。そう言ってもらえて嬉しい。
「ほら、紗良も」
湊がもう一つ手に取り、私の口元へ運ぶ。
「あーんして」
促されるまま口を開けた瞬間、彼の指先が唇に触れ、甘い痺れが背筋を突き抜けた。
ガトーショコラは甘くて、少しビターで。
「美味しい……」
「だろう?」
湊が私の唇についたチョコを指で拭い、そのまま自分の舌でぺろりと舐めとった。
「湊……っ」
「お前が作ったものを、一滴も余さず俺のものにしたいんだ」
彼の熱い視線に、体の芯が溶けそうになる。けれど、甘い余韻とは裏腹に、私の心臓は冷たく脈打っていた。
契約のこと、半年後のこと。このまま曖昧にはできない。
湊の本当の気持ちを、知りたい。怖いけれど……聞かなければ。