冷徹CEOと、一夜から始まる溺愛契約

「私も……あなたを愛してます」

その言葉を口にした瞬間、湊の瞳が大きく揺れた。

「紗良……」

「私、ずっと湊のことが好きでした。契約という縛りなんて関係なく、ただ、あなたという人が大切なんです」

「……俺もだ、紗良。昔から、ずっとお前だけを。お前以外は欲しくなかった。お前を手に入れるためだけに、俺はここまで来たんだ」

湊が私を押し潰すような強さで抱きしめる。

窓の外ではオレンジ色の夕陽が沈み、二人の影が溶け合うように一つに重なっていた。



「あの……湊」

それから少しして、私は遠慮がちに尋ねた。

「契約のことは、どうなるんですか?」

『契約を破棄してないのが証拠』

華恋さんの言葉が、頭をよぎる。

「……ずっと、言い出せなかったんだ」

湊が僅かに目を伏せ、デスクからあの契約書を取り出した。

「本当は、もっと早く破棄したかった。だが、俺が勝手に破棄したら『契約だから一緒にいたのに』って言って、お前が離れていくんじゃないかって」

湊が、私を真っ直ぐに見つめる。

「『半年経ったら解放される』……それがお前にとって、唯一の救いだったらどうしようと。お前の気持ちを確かめるのが、怖かったんだ」

その震える声に、心が激しく揺さぶられる。
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