冷徹CEOと、一夜から始まる溺愛契約

しばらくして、私たちは再びリビングに戻った。

「お父様」

湊が、父を真っ直ぐに見つめる。

「どうか、この家に住んでいただけませんか。ここは、お父様と紗良が守ってきた大切な場所ですから」

「だが、湊くんたちは……」

「僕たちは、今のマンションで十分です。それに、いつか家族が増えた時、ここにお父様がいてくださるのが、僕たちにとって一番の願いなんです」

私も頷く。

「お願いします。お父さん、ここで暮らして」

父の目に、また光るものが浮かぶ。

「ありがとう……本当に」

父が涙を拭う。

「それじゃあ、遠慮なく住まわせてもらうよ」



夕方。私たちは高嶺邸を後にした。

「また来るからね、お父さん」

「ああ、待ってるよ」

父が、手を振ってくれる。

車に乗り込むと、湊がエンジンをかける。

「ほんと、素敵な一日でした」

「ああ。でも、まだ終わりじゃない」

私を見つめる湊の瞳に、熱い光が宿っている。

「今夜は、紗良と二人だけの時間を過ごしたい」

それって……。

「ホテルを予約してある」

言葉の意味を理解し、心臓が高鳴る。

車は、東京へ向かって走り出した。

窓の外には、夕暮れの空が広がっている。

オレンジ色と紫色が混ざり合った、美しい空。

私は、新しい指輪を見つめた。

ダイヤモンドが、夕日を反射してきらきらと輝いている。

今夜――私たちは、本当の意味で結ばれる。
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