冷徹CEOと、一夜から始まる溺愛契約
しばらくして、私たちは再びリビングに戻った。
「お父様」
湊が、父を真っ直ぐに見つめる。
「どうか、この家に住んでいただけませんか。ここは、お父様と紗良が守ってきた大切な場所ですから」
「だが、湊くんたちは……」
「僕たちは、今のマンションで十分です。それに、いつか家族が増えた時、ここにお父様がいてくださるのが、僕たちにとって一番の願いなんです」
私も頷く。
「お願いします。お父さん、ここで暮らして」
父の目に、また光るものが浮かぶ。
「ありがとう……本当に」
父が涙を拭う。
「それじゃあ、遠慮なく住まわせてもらうよ」
◇
夕方。私たちは高嶺邸を後にした。
「また来るからね、お父さん」
「ああ、待ってるよ」
父が、手を振ってくれる。
車に乗り込むと、湊がエンジンをかける。
「ほんと、素敵な一日でした」
「ああ。でも、まだ終わりじゃない」
私を見つめる湊の瞳に、熱い光が宿っている。
「今夜は、紗良と二人だけの時間を過ごしたい」
それって……。
「ホテルを予約してある」
言葉の意味を理解し、心臓が高鳴る。
車は、東京へ向かって走り出した。
窓の外には、夕暮れの空が広がっている。
オレンジ色と紫色が混ざり合った、美しい空。
私は、新しい指輪を見つめた。
ダイヤモンドが、夕日を反射してきらきらと輝いている。
今夜――私たちは、本当の意味で結ばれる。