冷徹CEOと、一夜から始まる溺愛契約

朝日が、カーテンの隙間から差し込んでいる。

私は、ゆっくりと目を開けた。

見慣れない天井。高級ホテルの、真っ白な天井。

隣には、寝息を立てる男性……湊。

昨夜の記憶が、鮮明に蘇る。

ああ、私ったら。顔も素性も、ろくに知らない人と。

お父さん、お母さん、ごめんなさい。

だけど――後悔はしていなかった。むしろ、もっとこの人のそばにいたいと思ってしまう。

静かに、ベッドから抜け出そうとした時。

「……行くのか」

低い声。振り返ると、彼が目を開けていた。

「起こしてごめんなさい。私、もう……」

「約束通りだな。互いに忘れる」

彼は起き上がり、私を見つめた。その瞳には、深い哀しみがあった。

「だけど一つだけ、聞いていいか」

「……はい」

「お前は、これからどうするんだ? 仕事は? 生活は? 父親の医療費は? 一人で、本当に大丈夫なのか?」

なぜ、そこまで……そっか、昨日バーで全部話してしまったんだ。

「大丈夫です。なんとか、やっていきます」

強がってしまった。本当は、全然大丈夫じゃないけれど。

彼は、苦しそうに瞳を閉じた。

「……そうか」

そして、ベッドサイドから何かを取り出した。
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