冷徹CEOと、一夜から始まる溺愛契約

私が湊の首に手をまわすと、彼はゆっくりと動き始める。

痛みが和らぎ、代わりに満たされていく感覚。

身体だけじゃなく、心まで――。

今まで感じたことのない一体感が、私を包み込んでいく。

「紗良……っ」

「湊……!」

名前を呼び合うたび、二人の境界線が溶けていくような。

もう、どこまでが自分で、どこからが湊なのかわからない。

「あの夜を覚えているか?」

湊が荒い息の合間に囁く。

「はい……」

「あの時、お前は俺のことを何も知らなかった。……ただ、絶望から逃げるために俺に縋っていたな」

湊が私の髪に顔を埋める。

「だが、今は……お前は俺の名前を呼んでくれる。俺だけを見つめてくれる。こうして、心も身体もすべてを預けてくれる」

湊の瞳に、雫が滲んだ。

「紗良、あの夜とは比べ物にならないほど……今、俺はお前を愛している」

「私も……っ」

あの夜、ホテルの部屋で見た東京の夜景は、ただ冷たくて遠かった。

けれど今、私の肌を焼く湊の体温は、この世界の何よりも確かな真実だ。

この人を心から愛して、この人に愛されている。

その確信が、私を隅々まで満たしていく。

「紗良……もう、一生離さない」

湊の動きが速く、深くなり、身体の芯からとろけるような熱が込み上げてくる。

「あっ、湊……っ」

「全部、俺にさらけ出せ。愛してる、紗良」

視界が眩い白に染まり、全身を極上の痺れが駆け抜ける。

「紗良……っ!」

湊が私の内側で、魂を刻み込むように深く震えた。余韻を確かめるように、彼はいつまでも私を強く抱きしめ続けた。
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