冷徹CEOと、一夜から始まる溺愛契約

どれくらい時間が経ったのだろう。

気づけば、私は湊の腕の中で横たわっていた。

体は、心地よい疲労感に包まれている。

「大丈夫か?」

湊が、私の髪を撫でながら聞く。

「はい……幸せです」

私は、湊の胸に顔を埋めた。

「そうか、俺もだ」

湊が、私をぎゅっと抱きしめる。その温もりに、心が満たされていく。

「ねえ、湊」

「ん?」

「あの朝のこと、覚えてますか?」

「……ああ。名刺を渡して、お前が俺の腕から抜け出して、振り返りもせず逃げた朝だろう」

湊が苦笑し、腕の中の私をさらに強く抱きしめた。

「ごめんなさい……あの時は」

「謝らなくていい。お前は何も知らなかったんだから」

湊が、私の額にキスをする。

「だが、今は違う。俺という人間を知った上で、お前はここにいてくれる。それだけで、俺の十五年は報われたんだ」

湊の震える声が、愛おしくてたまらない。

「……ありがとう、紗良。俺と一緒にいてくれて。本当に……」

言葉はいらない。ただこの温もりが、すべてを語っている。
< 132 / 149 >

この作品をシェア

pagetop