冷徹CEOと、一夜から始まる溺愛契約
「紗良。十五年前、俺は庭の隅からお前を見つめることしかできない少年だった。だが、これからは……」
湊の声は、静かに、けれど確信に満ちて響いた。
「たとえどんな嵐の日も、俺がお前の傘になる。紗良という花を生涯かけて守り、愛し抜くことを誓う」
彼の言葉に、目頭が熱くなった。
「私も、湊を愛し続けます。絶望の中にいた私を見つけてくれたあなたを、今度は私が支え、共に歩んでいきます」
湊の目に、涙が光っている。
「それでは、指輪の交換を」
湊が、私の薬指に指輪をはめてくれる。
あの日、プロポーズでもらった指輪。ダイヤモンドが、光を反射して輝く。
私も、湊の薬指に指輪をはめる。
プラチナの、シンプルな指輪。内側には、私たちのイニシャルが刻まれている。
『M & S』
そして、日付。私たちが、本当の夫婦になった日。
「誓いのキスを」
牧師さんの声が響く。
湊が、私のベールを上げる。湊の顔が近づき、唇に優しい熱が触れた。
深く、互いの魂を繋ぎ合わせるような口づけ。
会場からは、鳴り止まない拍手が降り注いだ。
本橋さんが、ハンカチで目元を押さえている。
吉田さんは、満面の笑みで私たちを見つめていた。
そして父は――こちらを真っ直ぐ見つめ、静かに頷いてくれた。
その顔には安堵と、そして深い幸福が浮かんでいる。
湊が私の手を取った。
「行こう」
「はい」
二人並んで、バージンロードを歩く。
今度は、本物の夫婦として。