冷徹CEOと、一夜から始まる溺愛契約

「紗良。十五年前、俺は庭の隅からお前を見つめることしかできない少年だった。だが、これからは……」

湊の声は、静かに、けれど確信に満ちて響いた。

「たとえどんな嵐の日も、俺がお前の傘になる。紗良という花を生涯かけて守り、愛し抜くことを誓う」

彼の言葉に、目頭が熱くなった。

「私も、湊を愛し続けます。絶望の中にいた私を見つけてくれたあなたを、今度は私が支え、共に歩んでいきます」

湊の目に、涙が光っている。

「それでは、指輪の交換を」

湊が、私の薬指に指輪をはめてくれる。

あの日、プロポーズでもらった指輪。ダイヤモンドが、光を反射して輝く。

私も、湊の薬指に指輪をはめる。

プラチナの、シンプルな指輪。内側には、私たちのイニシャルが刻まれている。

『M & S』

そして、日付。私たちが、本当の夫婦になった日。

「誓いのキスを」

牧師さんの声が響く。

湊が、私のベールを上げる。湊の顔が近づき、唇に優しい熱が触れた。

深く、互いの魂を繋ぎ合わせるような口づけ。

会場からは、鳴り止まない拍手が降り注いだ。

本橋さんが、ハンカチで目元を押さえている。

吉田さんは、満面の笑みで私たちを見つめていた。

そして父は――こちらを真っ直ぐ見つめ、静かに頷いてくれた。

その顔には安堵と、そして深い幸福が浮かんでいる。

湊が私の手を取った。

「行こう」

「はい」

二人並んで、バージンロードを歩く。

今度は、本物の夫婦として。
< 140 / 149 >

この作品をシェア

pagetop