冷徹CEOと、一夜から始まる溺愛契約
チャペルを出ると、外には柔らかな春の日差しが降り注いでいた。
傍らに植えられた早咲きの桜が、一足早く満開を迎えている。
風に舞う淡いピンクの花びらは、まるで私たちを祝福してくれているみたいだった。
「ようやく、ここまで来られた」
湊が、噛みしめるように呟いた。
「ええ、本当に……」
彼の腕に添えた手に、ぎゅっと力を込める。
通り抜けていく春風はどこまでも優しく、今日から始まる新しい人生を、清々しく洗い流してくれるようだった。
◇
挙式を終えた私たちは、祝宴の席へと向かった。
その最中、湊がスピーチのために立ち上がると、それまで賑やかだった会場は、吸い込まれるような静寂に包まれた。
「本日は、お忙しい中お集まりいただき、ありがとうございます」
マイクを通した湊の声が、会場に響く。