冷徹CEOと、一夜から始まる溺愛契約

「私は幼い頃から、ずっと紗良を愛してきました」

そのあまりに真っ直ぐな告白に、会場全体が息を呑むのが伝わってきた。

「当時、私はただの庭師の息子。彼女は、高嶺家の令嬢。遠くから彼女を見つめることしか、許されませんでした」

湊は言葉を切り、震えるほどの熱量を帯びた眼差しを私に向けた。

「ですが今、こうして彼女の隣に立てることを、何よりも誇りに思います」

湊が私に向かって微笑む。

それから再び、凛とした表情で参列者たちへと向き直った。

「これからは、生涯をかけて彼女と共に歩んでいく所存です。本日は、私たちのために集まっていただき、心より感謝申し上げます」

湊の決意に満ちた言葉が終わるや否や、会場は割れんばかりの拍手に包まれた。

父も静かに立ち上がり、湊に向かって深々と頭を下げた。

「湊くん、本当にありがとう。紗良を、どうかよろしく頼みます」

涙で震える父の声を受け止めるように、湊は力強く手を差し出し、二人は固い握手を交わした。

そこへ、一人の初老の男性が近づいてきた。

少し足を引きずる仕草は見せるものの、その足取りは力強く、日焼けした肌には職人としての矜恃(きょうじ)が滲んでいた。

もしかして、この方が……?
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