冷徹CEOと、一夜から始まる溺愛契約

夕食後。窓を開けると、春の心地よい風がリビングに流れ込んできた。

湊が後ろから私を抱き寄せ、その温もりに身を委ねる。

静かだけれど、とても幸せな時間。

「なあ、紗良。挙式も終わったし、次は新婚旅行に行かないか」

「新婚旅行?」

「ああ。お前が望むなら、国内でも海外でもどこだって連れて行く」

私は顎に手を当てる。

「じゃあ……まずは、高嶺邸の桜が満開になったら見に行きたいです」

「桜か、いいな。お父様と俺の親父、みんなで花見だな」

私を見つめる湊の瞳には、かつての冷徹な鋭さは微塵もなかった。

十五年間、たった一人で背負い続けてきた執念や孤独が、今ようやく、穏やかな愛へと昇華されたのだと分かった。

彼はもう、私を遠くから見守るだけの少年ではない。私の夫として、ここで一緒に生きている。

窓の外には、満天の星空が広がっている。

遠く輝く星たちが、私たちを見守ってくれているみたいだった。

そして、その中の一つが――きっと、お母さん。
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