冷徹CEOと、一夜から始まる溺愛契約
その書類を、私の前のテーブルに置く。
書類の一番上には、日本でも有数の設備を持つことで知られる、都心の高度専門医療センターの名前が記されていた。
ページをめくると、見たこともないほど高額な費用が並ぶ『高度先進医療実施計画書』が綴じられている。
「これは、どういう……ことですか?」
声が震える。
「見ての通り、お前の父親の治療計画書だ。今の病院では、これ以上の回復は見込めないと言われていただろう」
突きつけられた事実に、私は言葉を失った。
「……っ、どうしてそれを」
「今の病院に居続けても、現状維持が精一杯だ。だが、この計画書にある専門病院なら――国内ではまだここでしか扱えない、海外の新薬を用いた最新の医療が受けられる」
湊さんは淡々と、けれど確信に満ちた声で続ける。
「新薬の扱いに長けた専門医も、すでに手配済みだ。お前が首を縦に振りさえすれば、明日にでも転院の手続きができる」
明日にでも? あまりにも手回しが良すぎる。
そもそも、そんな奇跡のような話、私には無理だ。