冷徹CEOと、一夜から始まる溺愛契約

その書類を、私の前のテーブルに置く。

書類の一番上には、日本でも有数の設備を持つことで知られる、都心の高度専門医療センターの名前が記されていた。

ページをめくると、見たこともないほど高額な費用が並ぶ『高度先進医療実施計画書』が綴じられている。

「これは、どういう……ことですか?」

声が震える。

「見ての通り、お前の父親の治療計画書だ。今の病院では、これ以上の回復は見込めないと言われていただろう」

突きつけられた事実に、私は言葉を失った。

「……っ、どうしてそれを」

「今の病院に居続けても、現状維持が精一杯だ。だが、この計画書にある専門病院なら――国内ではまだここでしか扱えない、海外の新薬を用いた最新の医療が受けられる」

湊さんは淡々と、けれど確信に満ちた声で続ける。

「新薬の扱いに長けた専門医も、すでに手配済みだ。お前が首を縦に振りさえすれば、明日にでも転院の手続きができる」

明日にでも? あまりにも手回しが良すぎる。

そもそも、そんな奇跡のような話、私には無理だ。
< 22 / 149 >

この作品をシェア

pagetop