冷徹CEOと、一夜から始まる溺愛契約

耳に届いた言葉が、あまりに現実離れしていて、脳が理解を拒否している。

「えっと、冗談ですよね?」

だって私たち、そもそも付き合ってすらいないし。

「俺が、冗談でこんな準備をする男に見えるか?」

彼はテーブルの上の計画書を指差した。その指先には、迷いなど微塵も感じられない。

「俺は、本気でお前に結婚を申し込んでいる」

湊さんの瞳が、私を射抜くように捉えて離さない。

「なぜ……どうして……」

混乱する私を、湊さんは静かに見つめている。

「理由は二つある」

湊さんが、私の手を取る。優しく。でも、強く。

「一つ目は、ビジネス上の必要性だ。海外の取引先が家族を重視する企業でね。独身のCEOより、既婚者の方が信頼される。特に、来年春に大きな契約がある」

なるほど……ビジネス上の理由。

「二つ目は――」

湊さんの声が、低くなる。
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