冷徹CEOと、一夜から始まる溺愛契約
「無理はするな。必要なものは、全てこちらで揃える」
「ありがとう……ございます」
湊が私を抱き寄せる。強く。でも、優しく。
「紗良」
「はい」
「怖いか?」
「……少し」
「大丈夫だ」
湊の声が、耳元で響く。
「俺が、お前を守る。誰も、お前を傷つけさせない」
その声は、優しくて、強くて。
私は少しだけ――温かい何かが、胸に宿るのを感じた。
◇
その夜。アパートに帰った私は、ベッドに倒れ込んだ。
あの人と……半年間の、契約結婚。
左手の薬指を見ると、まだ何もない。
明日、湊と指輪を選びに行く。
ぼーっと天井を眺めていると、スマホが鳴った。
湊からのメッセージだ。
【明日、11時に駅で。寒いから、温かくして来い】
短いメッセージ。だけど、最後の一文に心が温かくなる。
【わかりました。おやすみなさい】
返信すると、すぐに返事が来た。
【おやすみ、紗良】
名前を呼ばれた。文字だけなのに、胸がドキドキする。
私は、スマホを胸に抱きしめた。
これから、どうなるんだろう。
不安もある。だけど――ほんの少し、楽しみな気持ちもあった。