冷徹CEOと、一夜から始まる溺愛契約

父の言葉が途切れる。

「お父さん? 気をつけろって、どういうこと?」

「いや、何でもない。今のは忘れてくれ……お母さんも、きっと心配しているだろうな」

その言葉に、視界が滲んだ。

ごめんなさい、お父さん。本当のことが、言えなくて。

あなたを救うためなの。だから――。

私は母のネックレスを握りしめ、自分に言い聞かせる。

これでいいんだ。父の笑顔が戻るなら、私はどんな嘘でもつく。



十二月十四日の朝。湊から連絡が来た。

【指輪が完成した。今日、一緒に取りに行こう。18時に駅で】

心臓が跳ねる。

ついに、完成したんだ。

急いで支度をして駅に向かうと、すでに湊が待っていた。

「来たか」

「はい、お待たせしてすみません」

私が近づくと、湊が私の手を取った。

「その顔、緊張してるのか?」

「……少し」

「大丈夫だ。お前に似合うものを選んだから」

その自信に満ちた言葉に、期待が膨らんでいく。

駅からしばらく歩いて、ジュエリー店に到着。

個室に案内されると、テーブルの上に小さな箱が置かれていた。

ネイビーのベルベットの箱。

白い手袋をした店員が、丁寧に箱を開けた瞬間――世界が止まった。
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