冷徹CEOと、一夜から始まる溺愛契約

「あの夜、バーで話しただろう」

湊がさらりと言う。

「え? そうでしたっけ?」

あの夜のことは、お酒も入っていて記憶が曖昧だ。

「ああ。お前が嬉しそうに話していたから、覚えていた」

湊の声が、優しくなる。

「いちごだけじゃない。白ワイン、チョコレートケーキ、春の桜――お前が幸せそうに話したことは、すべて覚えている」

こんな些細なことを覚えていてくれる湊に、胸が温かくなった。

「だから、指輪も桜をイメージした。お前の幸せを、形にしたかった」

その言葉に、また視界が滲む。

「ありがとう……湊」

名前で呼ぶと、湊の表情が柔らかくなった。

「もっと呼んでくれ。何度でも」

その瞳には、満たされない何かがあった。

まるで、どれだけ私を見ても、触れても、足りないとでも言うように。



レストランを出ると、外は冷たい風が吹いていた。

十二月の夜。もうすぐクリスマス。

「寒いか?」

湊が尋ねる。

「少し」

すると、湊が自分のマフラーを外し、私の首に巻いてくれた。

「え……」
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