冷徹CEOと、一夜から始まる溺愛契約

その日の夕方。廊下を歩いていると、営業部の中谷さんが声をかけてきた。

「高嶺さん、これから時間ある? よかったら、飲みに行きませんか?」

「え……」

「初日だし、歓迎会も兼ねてさ。どう?」

どうしよう。せっかくのお誘いだし、お断りしたら悪いかな?

私が口を開きかけた、その時。

「高嶺さん」

背後から、地を這うような低い声が響いた。

振り返ると、そこに立っていたのは――湊だった。

冷たい表情。口元は微笑んでいるが、目は全く笑っていない。

「あなた、今日は私と先約がありましたよね」

獲物を狙う猛禽類のような、鋭い眼差し。

社長の彼が、一体なぜここに?

平穏だった私の初日は、一瞬にして凍りついた。
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