冷徹CEOと、一夜から始まる溺愛契約

湊は、窓の外を見ている。横顔がなんだか切ない。

「湊」

私が名前を呼ぶと、湊がゆっくりとこちらを向く。

「あの……嬉しかったです」

「え?」

湊の目が、僅かに見開かれる。

「嫉妬してくれて」

私の頬が熱くなる。こんなことを言うの、恥ずかしいのに。

「誰かに、そんなふうに思われるなんて……初めてで」

婚約者は、私のことを本当に愛してはくれなかった。財産が目当てだった。

でも、湊は違う。

「だから……ありがとうございます」

お礼を言うのは、変かもしれないけど。本当に嬉しかった。

湊がじっと私を見つめる。

そして、ゆっくりと手を伸ばし――私の頬に触れた。

「……ほんとに可愛いヤツだな、お前は」

「え?」

「そんなふうに言われたら……」

私の頬に触れる湊の手に、力がこもる。

「いいか、紗良。お前は俺のものだ。契約だろうと何だろうと、お前は俺の妻だ」

湊の瞳が熱を帯びている。まるで、私以外の何も見えていないような。

「他の男に指一本、触れさせたくない」

その独占欲に、息が詰まりそうになる。でも――嫌じゃない。むしろ、嬉しい。

「だから、必要以上に俺以外の男と関わらないで欲しい」

「……はい」

小さく頷くと、湊が満足げに微笑んだ。

そして、私の額に軽くキスをする。

「いい子だ」

その一言に、全身が熱くなった。
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