冷徹CEOと、一夜から始まる溺愛契約
「他にも、いくつか選ばせてください」
湊がスタイリストに告げる。
「この色に合う、バッグと靴、アクセサリーも」
「かしこまりました」
結局、その日はドレスを三着、バッグ、靴、さらにダイヤモンドのネックレスとイヤリングまで購入することになった。
会計の金額を見て目を丸くする私を、湊は愛おしそうに見つめて言った。
「紗良のためだけに使う金だ。俺にとっては、それが幸せなんだ」
その言葉の意味を考える間もなく、湊は私の手を引いて店を出た。
◇
その夜。私はコーヒーを手に、リビングのソファで資料を眺めていた湊の隣に座った。
胸の鼓動がまだ静まらない。
湊が私の背中をなぞった時の、熱い指先の感触が肌に残っている気がした。
「湊、今日は本当に……ありがとうございました」
「ああ」
湊が資料を置き、私に向き直る。
「紗良が喜んでくれるなら、それでいい」
「あんなに素敵なドレスを買ってもらったのに、パーティーは緊張しますね」
ふと、正直な気持ちがこぼれた。
「そのとき……私、初めて湊の妻として人前に出るんですよね」
「ああ」
湊が私の手に触れる。
「大丈夫だ。俺がそばにいる」
「でも、私なんかが湊の妻だって知られたら……」
「私なんか、じゃない」
「え?」
「……お前は、まだわかっていないんだな」
湊がふいに手を伸ばし、私の髪をそっと掬い上げる。