冷徹CEOと、一夜から始まる溺愛契約

第7話 華やかな夜と影


十二月二十八日、金曜日。

年始の社交パーティーまで、あと一週間。

会社では、年末の慌ただしさが漂っていた。

「高嶺さん、年末年始はどう過ごすの?」

昼休み、本橋さんが声をかけてきた。

「実家でのんびり……というわけにもいかないか。お父様、入院中なんだもんね」

「はい。でも、今年は少し特別な年末になりそうです」

私は、左手の指輪を見つめる。

ピンクダイヤモンドが、柔らかく光を反射している。

「それにしても、その指輪素敵ね。いつ見てもうっとりしちゃう」

本橋さんが目を輝かせる。

どうやら彼女には、婚約指輪ではなく高価なファッションリングだと思われているようだ。

「ありがとうございます。私も気に入ってるんです」



午後。私は、ある決意をしていた。

デスクの引き出しから、小さな保温ボトルを取り出す。

中には、湊の好きなコーヒー。朝、少し早起きして淹れてきたもの。

深煎りのブラックコーヒー。湊が好きな味だと、最近知った。

「行ってきます」

小さく呟いて、私は席を立った。

エレベーターで最上階へ。

心臓がドキドキと鳴る。

社長室の前まで来ると、秘書の吉田さんがいた。
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