冷徹CEOと、一夜から始まる溺愛契約
「えっと、あの、湊。今の方は、取引先の方じゃ……」
「関係ない。俺の視界に、お前以外の女を入れたくなかっただけだ」
「っ!」
……そこまで、思ってくれているの? ただの契約上の妻に過ぎない、私を。
今、私を見つめる彼の瞳には、蕩けるような甘い熱が宿っていて。
その極端な温度差に私は思考が止まり、ただ息を呑むことしかできなかった。
そのとき……バンドの演奏が変わり、社交ダンスの時間が始まった。
フロアの中央が開けられ、何組かのカップルが優雅に踊り始める。
「俺と踊ってくれるか、紗良」
湊が私の前に立ち、誘うように大きな手を差し出す。
「私、ダンスなんて……上手く踊れないです」
昔、社交ダンスを少し習ったことはある。だけど、それは子供の頃の話。もう何年も踊っていない。
「大丈夫だ。俺がリードする。俺に身を任せてくれ」
その言葉に、私は吸い寄せられるように手を取った。
湊の掌が、私の腰をぐっと引き寄せる。もう一方の手で、私の手を逃さないように包み込んだ。
手のひらから伝わる熱い温度に、眩暈がしそうになる。
バンドがワルツを奏で始め、湊がゆっくりと動き出す。