冷徹CEOと、一夜から始まる溺愛契約
その言葉に、鼓動が跳ねる。
高嶺不動産。かつて私の父が経営していた、会社の名前。
その名を、なぜこの人が知っているの?
「鳳さん」
湊の声が氷のように冷たくなる。
「その話は、ここでする必要はない」
「そうね、ごめんなさい」
華恋さんの唇が完璧な曲線を描く。その笑顔には、勝利の色が浮かんでいる。
「ねえ、奥様」
彼女の冷たい指先が、私の鎖骨をかすめる。
「湊さんって、本当に素敵な方ね。でも……」
その声が、耳元で低くなる。
「すべてを知った上で、それでも彼を愛せるかしら?」
「え?」
私にだけ聞こえる低い声で囁くと、彼女は香水の甘い残香だけを残して消えていった。
今の、一体どういう意味?
湊は、父の会社のことを何か知っているの?
「湊……今の、どういう意味ですか? 三年前に、何が……」
「気にしないでくれ」
湊が私の腕を掴んだ。湊の顔が、見たこともないほど蒼白になる。
「彼女は、俺を揺さぶりたいだけだ」
その瞳には、かつてないほどの苦しみが宿っていた。
どうして、そんな顔をするの? 過去に、何があったの?
「紗良」
湊が私の両肩を掴む。