冷徹CEOと、一夜から始まる溺愛契約
心臓を冷たい手で直接掴まれたような衝撃に、視界がちかちかと明滅する。
「あの時……俺が、もっと早く……」
私の手が、氷に触れたかのように冷たく震える。
「……間に合わなかった。俺のせいで……」
湊の顔が苦痛に歪む。まるで、消えない罪の意識に苛まれているように。
私は、こわばる手で彼の額のタオルを替えた。
心臓の音が、耳元でうるさいほど打ち鳴らされている。
湊は、何かを知っている。父のことを、私たちの家のことを。
そして――彼は自分を責めている。
「湊……」
私は、熱に浮かされる彼の手を両手で包み込んだ。
「教えてください。……あなたが、何にそんなに苦しんでいるのか」
尋ねても、湊は答えない。ただ、弱々しく息を吐き続けている。
私は朝まで湊のそばにいた。
静かに手を握りながら、ずっと考えていた。
華恋さんの言葉、湊の寝言。そして、あの夜――バーで初めて会った時のこと。
もしかして、あれは偶然じゃなかった?
湊は、最初から私のことを……?
考えれば考えるほど、分からなくなる。
だけど、一つだけ確かなことがある。
湊は、何か大きな秘密を抱えている。
そして、その秘密は――私の過去と深く関わっている。