冷徹CEOと、一夜から始まる溺愛契約
翌朝。湊の熱は、さらに下がっていた。
午前九時前、湊がゆっくりと目を開けた。
「……紗良?」
ぼんやりした表情。
「起きましたか。良かった……」
私の視界が滲む。本当に、心配だったから。
「ずっと……看病してくれていたのか」
湊が、私の顔をじっと見てくる。
私の目の下にはきっと、クマができているだろう。
「当たり前です。心配しました」
「すまない……」
湊が、私の手を握りしめる。
「お前に、こんな苦労をかけて」
「苦労なんかじゃありません」
私は、湊の額にそっと手を当てた。
まだ少し熱いが、昨夜よりずっとマシだ。
「もう少し寝ていてください。私、お粥作りますね」
「ありがとう」
湊は、穏やかな表情になる。
私はキッチンへ向かい、お粥を作った。
米を研ぎ、多めの水で炊く。
柔らかく、消化の良いお粥。卵を落として梅干しを添えた。
湊の好きなシンプルな味付け。
完成したお粥をお盆に乗せて、寝室へ戻った。
「湊、起きられますか?」
そっと声をかけると、湊がゆっくりと目を開ける。
「ああ……」
「お粥を作りました。食べましょう」
私は、湊を起こして座らせた。
背中にクッションを当てて、体を支える。
「自分で食べられますか?」
「いや、すまないが……」
湊の手が、こわばっている。まだ、体に力が入らないようだ。
「わかりました。食べさせますね」
私はお椀を手に取ると、スプーンで一口分をすくい、ふーふーと息を吹きかけて冷ます。
「はい、湊。あーん、してください」