冷徹CEOと、一夜から始まる溺愛契約

でも、この人は違う。

触れられる場所すべてが熱を帯び、労わられるたび、惨めな記憶が塗り替えられていく。

深く触れられる前に、彼は一度、唇を離した。

額と額を合わせたまま、低く囁く。

「無理はさせない。嫌なら、いつでも言え」

どうして、こんなにも大切に扱われるのだろう。

私は答える代わりに、もう一度、彼の唇を求めた。

彼の吐息が熱くなる。

腕に力が込められ、強く抱きしめられた。逃がさないような、まるで溺れる者が浮木に縋るような、必死な抱擁。

「紗良……っ」

名前を呼ばれるたび、胸が熱くなる。

いつの間にか、私たちはベッドの縁に座っていた。

彼が丁寧に私を押し倒し、覆い被さる。夜景の光が、彼の輪郭を縁取っていた。

「お前の首にあるネックレス……大事なものか?」

「はい。母の、形見です」

彼の手が、一瞬止まった。

「……そうか」

それ以上は何も言わず、彼は慈しむようにネックレスを外してくれた。そしてベッドサイドテーブルに、まるで宝物を扱うように静かに置いた。

「なくさないように。お前が愛しているものは、俺が守る」

その配慮に、視界が滲む。

セーターを脱がされ、スカートのファスナーが下ろされる。一枚、また一枚と、服が床に落ちていく。

「……っ」

下着姿になった瞬間、恥ずかしさで瞳を閉じてしまう。

彼の手が私の頬に触れた。

「見せてくれ。お前の目を」

言われて、ゆっくりと目を開ける。

彼の眼差しは、さっきまでの冷たさは微塵もなく――ただ、熱く私を見つめていた。

「眩しいな」

ため息をつくような彼の声に、背筋が痺れるような高揚感に襲われた。
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